clubhouse memo – 地方創生にコンサルは必要か。

まちづくり

今回もお風呂掃除のお供にと聴いていたclubhouseからの投稿。

地方創生に関する議論ではよく出るトピックですが、地方都市とコンサルの組み合わせで良いお話を聞くのは稀です。それは情弱地方鴨に群がる都会ハイエナという構図以外にも考えなくちゃいけないことがありそうだなーと白熱トークを聞いてて思ったけれど、お風呂掃除の手を止める訳にもいかないし。後日改めて考えてみました。

clubhouseでは”自分たちで考え抜けばコンサルは必要ない”、”地方は僕らの使い方を分かってないからもっと勉強してほしい”、”なーんかうまくいかないんっすねー”等々と、双方(地方とコンサル)の意見が出てましたが、これって二項対立ではないし、結局最後はサービスを依頼する側(地方)の問題なんだなー、というのが取り敢えずの結論。

結局はケースバイケースであって、常にこのパターンが正しいなんてことはないけれど、僕なりに”コンサル”との付き合い方を考えてみました。前提として、コンサル = サービスを提供する地域外リソースとして、自称”商売繁盛コンサルタント”だったり、くりえいてぃぶでぃれくたーだったり、その他諸々が含まれます。

地方とコンサル。付き合い方をパターン分けしてみた

下の表は地方が地域外リソースにお仕事を依頼する際の仕事タイプと依頼主をパターン化したものです。地方の登場人物を民間(PRIVATE)と行政(PUBLIC)に、コンサルにお願いするお悩み事を売上/税収UP!(FRONT)、コストDOWN!(BACK)、未来を描こう!(VISION)と分けてみて、それぞれのパターンで地域外リソースを活用すべきか否かを考えてみました。

FRONTBACKVISION
PRIVATE×
PUBLIC

整理してみると、コンサルは必要/不要の2軸だけでは済まなそうだなと。時間軸を加えると更にややこしくなりますが、ここは一旦シンプルに。

FRONT:支援はピンポイントに。共に汗を流すチームとしていかに巻き込むか。

こちら行政・民間共に○としました。ターゲットを地域外と定め、いかに外貨を稼ぐのかと考えた場合、コンサルは必要だと思います。

ただ、売上あげたいから”まるっと”コンサルにお願い!ではなく、何がしたくて、現状では何が不足してて、誰に、何を、どう支援して欲しいか



まずは可能な限りの要件を具体的に自分たちで詰めることが大事なのではないかと。

具体的に自分たちにやりたい事と足りない事を整理すればするほどに、”地方創生コンサルタント”からのフワフワ提案にのっかるのではなく、然るべき人に自分たちからコンタクトを取って話を進めていけるようになるのでは。

注意: ①企画は地方主導で行うこと、②コンサル達を当事者として巻き込むこと

コンサルが営業にやってきて、提案通りに仕事を依頼するとどうなるか。

地方は手となり足となり、頭は動かさず、自分たちの血肉となる前にコンサルは去る・・

コンサルは地方に不足している部分を支援する立場であるので、プロジェクト主体は地方であるべきだし、そもそもの企画案は地方発(自分たちで考え出す)でないと一番旨い部分を持ってかれます。

コンサルもコンサルで契約書にハンコさえ貰えば後は横展開ビジネスで大儲けだぜ、となると、金太郎飴サービスが最もらしい形で提供され、期待されてる(そもそも誰も何も期待してないのかもしれませんが。。)結果なんて出るはずもなく、というか、そもそも何やってんだっけと。。

コンサルにとって基本は地方でのお仕事は他人事。KPIと報酬体系を綿密に設計して、コンサルではなく一緒に汗を流すプレイヤーとして巻き込まないといつまで経っても成果が出ない。
成果が出た雰囲気はあるけど、仕組みとして根付かせないとコンサルが去った後に自走できる仕組みとはならない。

じゃー成果を出す・地域に根付く仕組みとなるサービスを提供してもらうためのKPI・報酬体系ってどんな?

BACK:行政は金太郎飴万歳。民間はさくっとクラウドサービスを。

個人的にコンサルが一番力を発揮しやすいのがこの領域かと。BACK(ここではコストを下げる≒バックオフィス業務とします)でやることって基本的にはどこも同じ筈だし、うちは違う〜っていう事業者/行政がいたら、それは属人化してて生産性が低くなってる可能性が高いです。

民間の場合、BACKを効率化させてコストを下げるためには、広告によく出てくるクラウドサービス使ったら良いし、使い方がわからなければyoutubeがある。それでも足りなかったらtwitterか商工会議所の誰かに聞けば大概は解決しそうな気がします。

行政の場合は最近ですとgovtechなる言葉も出てきてるし、先端サービスはどんどん導入しちゃえば良いと思う。ここは右へ倣えでどんどん先端事例を導入すべきかと。

注意:ボトムアップでは始まらない。

この取組み、きっかけをボトムアップで現場の意見を取りまとめて上申、では永遠に進まないことが多いです。だって現場は現状維持が一番楽ちんだし、コスト削減 ≒ 自分の仕事がなくなると捉える人が多いのも新しいことへの抵抗理由として強いです。進めるにはトップダウン & 具体的な数値目標を設定して、トップの腕力をもってガシガシ進める必要があるのかなと。

VISION:行政は最先端の知見を参考に自分自身で絞り出す。民間はそこが経営の面白いところなので丸投げしない。

未来をどう描くか。ここは自分で描きたい。
自分たちの未来だからこそ、自分たちで描かないと。

民間事業者の場合は日々の情報・世界の潮流については誰でも平等に入手できる世の中なので、経営者が思い描く未来をただひたすらに妄想すれば良い、って思うので外部の力は不要と考えます。

では行政はどうか。

行政のVISIONにあたるものが総合計画だとしたら、多くの自治体のそれが金太郎飴になってるのが現状。これは総合計画コンサルなる方々が各自治体の事例を元に地方行脚をした結果かと思われます。自分たちで考えないとその街の色が出ない!自分たちだけで考え、自分たちだけで作る!っていう考え方も必要ですが、ここは”コンサル”の力も必要だと考えます。

ここでコンサルに求めるべきなのは、中長期構想を描く上でのINPUT材料。民間事業者であれば経営者の妄想を突き進めば良いと思いますが、行政ともなるとそこは外部の知識を存分にINPUTしても良いと思うのです。これからの少子高齢化に起因する地方都市の諸問題を解決するには最先端の知見を少なからず取り込む必要があるはずで、例えば教育 x tech(教育格差是正・デジタルディバイド)、インフラ x AI(メンテナンスコスト削減)、福祉 x robotics(人手不足対応)等々、地方にいては得られない情報は外部から必要に応じてINPUTするのは大事なんかなーと。

注意:OUTPUTは自分たちで

INPUTは存分に外からの知見を頂いたら良いと思うのですが、OUTPUTまでお願いすると金太郎飴になる。

地域事情を加味して、自分たちがつくる町の構想は自分たちでOUTPUTする、んで皆と共有する。
そうすることで、他のどこにもない未来構想が出来あがるし、地域住民にとっても町の未来が自分ごととして捉える/身近に考えるきっかけになるんかなーと(ま、綺麗事ですが)。

結局は自分(地方)。解決するのも自分(地方)。

結局は自分たちにとって何が必要で、何が不足してて、誰にどこをどう助けて欲しいか。

外の人をどれだけ巻き込めるかは本人/自治体の熱量とフェアな報酬体系によるところが大きくて。
ってことは、地方側が目の前の課題を自分ごととして、どこまで本気になれるか、がコンサル(外の人)とのコラボが生きるか死ぬかの分かれ目、って意味では、やはり成否は地方側によるところが大きいということでしょうか?

地域の課題は地域の人にしかわからない。その課題を具体的に必要とする要件までブレイクダウンするのは地方。課題はどこも似たり寄ったりなので横展開できるイメージはあるけれど、本質的なところは地域によって差が生じる。課題を解決するのは自分たちであり、コンサルは支援する立場。スポットで活用し、依存すべき存在ではない。

結局は自分たちが手足だけでなく、頭も働かせることが大事なんかなーと思ったのであります。

ま、知らんけど。

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