こうしてcup of tea 2号店は始まった(物件発掘 〜 契約まで)

宿

cup of tea 2号店に着手しました。と言うか、ようやく着手できる運びとなりました。。
今回はそれはそれは長かった物件契約までの流れを・・。

2017年7月 – まだ1号店開いてないけれど・・

始まりは2017年7月。まだ1号店の工事も始まってない頃。
実家近くの八軒町通り沿いにあった元旅館の存在に気付いたことから始まりました。

宿開業にあたって修行させて頂いた金沢のグッドネイバーズ吉岡さんから2軒目やるとしたら、出来るだけ大きなハコが良いと聞いていたこともあり、既に着手していた1軒目の4倍のサイズの物件に照準を合わせました、1軒目の工事は始まってなかったけれど。

その建物に住まわれていた単身の方にまずは賃貸で交渉に向かい、売買ならな〜と言われ腹括り、交渉を始めようとしたその矢先・・。

その方が他界。  宙ぶらりん。

相続が親族に分散されると交渉が難しくなる!と言うことで、1人家族葬の場に伺い、改めて交渉。(この辺の空気感を臨場感満載でお届けしたいのですが・・)

”親族内で相談してみるわ〜”から4ヶ月
”片付けしないと譲れないから、まずは建物きれいにしてからだね!”から4ヶ月
”私(故人の弟)は良いんだけど、姉がね・・”から2ヶ月
”私(故人の弟)は良いんだけど、姉の息子たちがね・・”から2ヶ月・・

破談になりました。

2018年6月 – 突然の出会い

一部重なる2018年6月。宿1号店も安定し、次動きたいのに物件交渉が進まずやきもきしていたある日、ご近所のcourier黒岩さんからこのメール;


なんということでしょう。

やきもき物件が八軒町通りの入口だとしたら、出口にあたる場所に建っている高山信用金庫八軒町支店が閉鎖されるとの第一報。銀行隣にてカフェを営む黒岩さんからの超リアルタイム情報により、すぐに支店に出向き、詳細を確認すると7月をもって支店が閉鎖されるとのこと。

ここで宿をやりますので、オーナー様を紹介してください。

まずは1番に手を上げたことを印象付け、後日オーナーにご挨拶。
あれから10ヶ月。ここからが長かった・・。

契約に至るまで

交渉(賃貸)

オーナーに挨拶に伺った際、まさか新たに賃貸に出せるとは思っておらず、取り壊して駐車場にする計画だったとのこと。そこから;

①こんな古い建物を賃貸に出すなんて無理!という思い込み(田舎あるある)の修正
②銀行さんが払ってくれてた家賃をあんたも払えるんかいなという疑念の払拭
③あなたになら貸しても良いと思ってもらえる信用の獲得(とにかく父を前面に出す)

に時間を割く一方で、宿としてペイするの?この建物大丈夫なの?も並行して調査。今回設計をお願いするKraft Architectsの中村篤史君に依頼をして現地調査を行い、収支シミュレーション、金融機関に資金調達の相談をした後にGOサイン。

しかし、調査を進める中で、古い建物故に宿運営で起こり得る”いざという時”の責任問題の線引きだとか、耐震補強を要する場合の費用分担などなど賃貸だと決めとかなきゃ行けないであろう諸問題が多く出てきたことから、オーナーが希望する賃貸ではなく売買での交渉に切り替えました。

交渉(売買→定期借地→売買)

交渉にあたり①近隣の不動産取引実績、②相続税路線価やらを参考に交渉金額を設定しましたが、しかし・・・

インバウンドブームに沸く高山でも、他都市同様不動産バブルが起こっており、”適正価格”なんて無いようなもの。収益物件の場合、”適正価格”の3倍前後に価格が跳ね上がってます。結果、こちらの提示額と先方の希望売却価格には◯◯◯◯万円の差が・・。
お金は無いから感情に訴えて・・もしましたが、有効な手段がない中8th avenue計画GIVE UP!!と思ったところに不動産会社から定期借地での契約提案。

上物だけの購入なのでランニングが下がる!助かった!と思ったのもつかの間、オーナー側からはやっぱ売買でお願いしますと・・。

でも待てよ・・月々◯◯万円を10年積み立てれば、資産として次の一手に使えるのか。十分ペイするのか、ペイするよな、宿いけるよな、、、行くしかない・・と自己暗示を必死にかけ、かかった振りをして臨時株主総会(家族会議)を開き、筆頭株主(父)からもなんとか了承を得て腹括りました。こうして2号店の物件をかけた1年10ヶ月が幕を閉じたのです。

契約を終えて・・

正直かなりの金額です。改装費も含めたら多重債務者だわ〜とか言って笑ってられないでしょう。(実家も担保に入れるし)
それでもこの2号店の取得に拘ったのは事業性はもちろんですが、無駄に背負ってる責任感なのかなと。

高山は不動産バブル真っ只中です。外部資本に高山陣屋の前の土地を取られたらどうなるか。既に陣屋前に店を構えるドラッグストアマツモトキヨ◯が通りを埋め尽くす流れに1mmでも抵抗しないと”観光地”としての飛騨高山の寿命が間違いなく早まるなと。

なんだかんだ言って生まれ育った町だし、これから地元にコミットして事業をする一つのけじめとしてはこの2号店を取得できたのは良かったなと思えるのです。

今後設計が進むにつれ、自身が削り取られていくような改装費の減額作業等の困難が次々と襲いかかってくると思うとげんなりしますが、まずはスタートラインに立てました。ここからです。

2号店準備ですが物件取得時点で僕は少々ガス欠です。じゃー2号店はどんな宿にしようかな?って話はまた今度

2019.05.22時点の様子(1階)

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