前編でお伝えしたように、cup of teaでは接客(フロント)はコミュニケーションを通して、顧客満足度(利益)を最大化させることを重要視しています。
一方、顧客の満足に直接つながらない管理・事務作業(バック)では、可能な限り楽をするための工夫をしています。
管理・事務作業で楽するために気をつけているポイント
バックオフィス業務は可能な限りテクノロジーの力を借りて楽しています。しっかりと彼らに力を発揮してもらうため、2つのポイントに気をつけています;
テクノロジーはツールにすぎない
テクノロジーはあくまでツールである、これを忘れないことは非常に大事だと思います。
使うには必ず目的があって、その目的を達成するためにツールがあることを業務を整理する上では忘れないよう注意しています。よくある手段と目的の話です。
後述する「ハーフダイナミックプライシング」ツールは、目的をしっかりと設定して用途も明確にして開発した結果、なくてはならない cup of tea の武器となりました。
整理するための3ステップ
ツールを活用する前の業務を整理していく中で、3つのステップを意識しています;
①パターン化する
②ルール化する
③あとは作業だけ/できるところは自動化
バックオフィスの作業って基本的に単純なオペレーションなので、パターン・ルール化してなるべく頭を使わないようにする、なんなら、人間がやる必要はないって思っています。
一方で、この部分を工夫すればそんな業務でさえも差別化要因になり得るし、何よりゲストと向き合うことに集中できるし、これまた改善・改善を繰り返す価値があると思っています。
例えば予約管理ツール
予約管理に大活躍の beds24
予約管理はドイツ製のクラウド製品 beds24。金沢の吉岡さんに紹介頂いて存在を知ったものです。以前は同じ用途に Cloudbeds という製品を使っていましたが、今年から乗り換えました。
beds24 の最大の魅力は、①価格設定の柔軟性 ②クレジットカードの有効性チェック機能だと考えています。
価格設定の柔軟性
ゲストハウスのような1泊2,000〜3,000円の素泊まり宿では、「価格」が大きな意味を持ちます。ロケーションが不利な cup of tea はコミュニケーション・銭湯・価格を売りにしてなんとか生き残っていますが、そこで大活躍しているのがbeds24の柔軟な価格設定機能。
指定した時間などの条件に基づいて、価格変更を自動で行えます。ポイントは、絶対時間ではなく、今日を基準とした相対的な期間を指定できること。直近○日間になっても売れ残ってる在庫は自動で価格を指定値に下げる、といったルールをかなり柔軟に設定することが可能です。
cup of tea では繁忙期・閑散期だけでなく、データをもとにあらゆる状況に応じた価格設定・予約を行なっていますが、beds24 のお陰で負荷を上げることなく、運用が可能になっています。
クレカの有効性チェック機能
あらゆる宿泊事業者が頭を悩ませるのが、「ノーショー」ことドタキャン問題。予約時点では決済を行わないホテル予約サイトであっても、確認用にクレジットカードの情報の入力をさせることが一般的です。しかし、わざと無効なカード情報を入力しておき、キャンセル料チャージから逃れようとする輩が一定数存在します。多くの施設は泣き寝入りしているのが現状ですが、beds24 を使えば、このような悪質な予約を未然に取り除けます。
ハーフダイナミックプライシングツール
「価格」はゲストハウス経営において非常に重要と書きましたが、cup of teaが他施設と比べてさらに踏み込んでいるとすれば、この値付け=プライシングです。インド発のユニコーン企業となったホテルチェーンOYOは毎分43,000回も販売価格変更処理をしてるそうですが、cup of teaでも毎日1回は見直しを入れています。
開業当初こそ Booking.com で周辺施設の価格を日々チェックして更新/闇雲更新の苦行を強いられていましたが、プログラムが書ける妻がこの作業を劇的に変えてくれました。
現在は Googleのサービスを自由に拡張できるGoogle Apps Scriptを使い、Booking.com に掲載される周辺施設の半年先までの価格を毎日自動取得して、最後は人間によって根拠を持った値付けをしています。
最後はやっぱり職人的肌感によるチェックが必要であるため現在はまだ手動で行っていますが、beds 24 のもう1つの魅力である豊富な API 群を活用して、半自動値付けツールや、周辺施設の価格と大きな乖離があった時に Slack にアラートを飛ばすツールも、現在開発中です。
やっぱりテクノロジーは所詮ツール
テクノロジーの力がなかったら今のcup of teaがなかったのは事実ですが、やはり最後は現場での対応力・人間による意思入れがcup of teaをつくっているんだと思います。
事業環境は日々変わるし、ゲストも毎日変わる中で、現場での細かな工夫を地道に積み重ねることでしか得られないノウハウっていうのがあって、これは言葉では伝えきれない。。
差別化の源泉はオペレーションにこそあると信じて、cup of tea では今日も日々のオペレーションを研ぎ澄ませていってます。
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